2016年10月、「里山物語」を通じた第7回の支援を実施しました。今回の支援先は「岡田の里山を耕そう会」です。
支援のきっかけは、福祉をキーワードとして里山再生を目指す活動に、「里山物語」による寄付金を運用するNPO法人里山保全再生ネットワークが参加したことでした。その活動自体は長野県筑北村というところが舞台だったのですが、活動を通じて知り合った林業会社から「長野県松本市で市民と馬を飼うことになったんです」との話をお聞きしました。活動フィールドがあるのは里山保全再生ネットワークの事務所がある区域とのことでした。「灯台もと暗し」とはまさにこのことです。早速、現地視察とヒアリングに伺いました。
人々が暮らす里からほんの少し登った山の中腹に馬小屋と小さな牧場がありました。かつては乳牛が飼育されていた場所だそうです。壊れかけていた牧舎を馬小屋に、荒れかけていた敷地を牧場に再生したとのことでした。そこで飼い始めた馬はかつて北海道の「ばんえい競馬」で活躍してきた「ばん馬」で、名前は「ヤマト」。人と人、人と自然をつなぐという意味があるのだそうです。岩手県で馬方による調教を受けた後、2016年7月に松本の里山にやってきたとのことでした。
馬を飼うことになったきっかけは、「里山を守るためにはもっと人を山に入れたい」と考えて、人を集める方法を探していた時、かつては当たり前にあった馬を使って働くという技術と出会ったとことだそうです。以降は「山と馬プロジェクト」というプロジェクトを立ち上げ、馬を使って田畑を耕す「馬耕」や、馬を使って山から木を引き出す「馬搬」の復活などを通じて、里山に人と人、人と山が出会う新たな場を創ることに取り組み始めたとのことでした。
ヒアリング後、里山保全再生ネットワークは、主に以下の理由で支援を決定しました。
・馬の飼育によって持続可能な林業や農業、里山再生を目指す全国でも珍しい事例である。
・子育て団体や林業会社などとも協業しており、活動の広がりや持続性が期待できる。
・山に人を集めるために馬を導入するという発想は注目に値する。
・ホースセラピーなども視野に入れており、「里山×農業×林業×地域住民×福祉」といった掛け合わせ効果が期待できる。
・これまでの事例と同じように里山での活動を通じて、その大切さを学ぶ場となっており、里山の後継者の育成も期待できる。
支援物資は会で相談して頂いた結果、組み立て式のピザ窯になりました。里山保全再生ネットワークは、かつて各地の団体にピザ窯を贈呈するというプロジェクトを展開し、その多様な効果(バイオマス利用、食育への応用、集客力向上、活動資金調達など)を実感していたため、二つ返事で賛成しました。
贈呈式は10月末とはいえ冬を思わせる寒い日に実施しました。牧場はピザを目当てに訪れた人、ヤマトに会いに来た人などで賑わっていました。贈呈したピザ窯が、馬とともにこのフィールドのシンボルになるのは確実と思えるひとときでした。
今後、「岡田の里山を耕す会」では、馬が運び出した木材を使った製品や、馬耕によって生産した農作物のブランディング化を進めるほか、里山でのイベントも開催していくとのことです。里山保全再生ネットワークもこの活動に合流し、さまざまな人のつながりを創り出すことに協力していきたいと考えています。
なお、今回の支援活動に至るまで、「里山物語」を使用してくださった企業・団体名(50音順)は下記の通りです。
株式会社あすなろ書房
アルソ出版株式会社
飯野海運株式会社
因幡電機産業株式会社環境システム部
映画うみやまあひだ
株式会社オルタナ
かんでんEハウス株式会社
NPO法人共存の森ネットワーク
サンワコムシスエンジニアリング株式会社
株式会社シティライフNEW
新宿区立環境学習情報センター
西武信用金庫
ソニー銀行株式会社
株式会社大地を守る会
高山信用金庫
株式会社T&Dホールディングス
日本コムシス株式会社
公益財団法人日本自然保護協会
日本応用動物昆虫学会
株式会社東日本銀行
株式会社プレシーズ
株式会社北陸銀行
北陸電力株式会社
丸楽紙業株式会社
公益財団法人水と緑の惑星保全機構
ヤマトインターナショナル株式会社