2015年12月、「里山物語」を通じた第6回の支援を実施しました。今回の支援先は感環自然村(長野県飯田市)です。
「里山物語」による寄付金を運用するNPO法人里山保全再生ネットワークは、「子どもたちがさまざまなことを学ぶ場として里山を活用することも里山の社会的な価値を高める」と考え、森のようちえんなどを支援してきました。里山での体験が子どもたちのたくましさや考える力を育むのはもちろん、「里山で育った子どもたちは、きっと里山が好きになり、未来の守り手にもなる」と考えているためです。こうした背景から、第6回の支援に当たっては、子どもたちのために里山を活用している団体の情報を収集していました。
そんな中で知ったのが感環自然村でした。同団体の活動フィールドは天竜川が作りだした天龍峡や近隣の里山です。毎月2~4回、自然の中で子どもたちが健やかに育つ上で欠かせない"原体験"を提供しています。メニューはネイチャークラフトやキャンプ、稲作体験などさまざまです。
最近は子どもたちの体験のために里山を活用している団体が増えてきましたが、感環自然村には大きな特徴がありました。それは里山での子どもたちの自然体験に加え、“多文化共生”という独自の取り組みにチャレンジしていることです。早速、お会いしに行って活動の詳細や、支援が可能となった場合の要望お聞きしました。
感環自然村では、“国境がない心を育てる”ことを目指して、外国人のスタッフや、さまざまな国の子どもたちとの交流機会を設けているほか、ハロウィンやイースターなどの外国文化に触れたり、外国の言葉を学んだりしているそうです。また、小刀などの道具を使う体験や、猟師などの職人に会いに行く体験も取り入れているとのことでした。
道具を使う体験では、4歳児でも刃物を上手に使い、流しそうめん用の箸や器、凧、クラフト作品などを作るそうです。村長の坂井さんによると「道具が上手に使えると、その道具は子どもたちの味方となり、世界を大きく広げてくれる」と考えて、積極的にプログラムに取り入れているとのことでした。鉛筆を削ったり、マッチを擦ったりすることができない子どもが多い時代、それも大切な体験です。
支援要望は、新たな活動拠点として建設を進めている小屋の資材費(一部)と、周囲に広がる里山を整備するための道具でした。その後、飯田市郊外の里山地帯を見おろす丘に建つ小屋に案内していただきました。小屋の広さは10畳ほどでロフトもあります。小屋のまわり以外は荒廃地でしたが、手入れすればさまざまな用途で使える体験フィールドになりそうです。また、大きな町から離れているので、夜には満天の星も見られそうでした。坂井さんはその小屋を拠点に、「里山の手入れや、宿泊も含めた子どもたちの体験活動を行いたい」と夢を語ってくださいました。
数日後、里山保全再生ネットワークは、以下の理由から支援を決定しました。
・自然豊かな里山を使って、子どもの健全な育成に欠かせないさまざまな原体験を提供している。
・外国人のスタッフが多く、日本文化に加えて外国文化や、自然と共存することを学ぶトレッキング、海外生まれのネイチャークラフト体験など、外国流アウトドア文化と触れ合うことができる。そのような多様な経験を通じて、子どもたちの「自然や他者とつながろうとする心や国境のない心」を育んでいる。このような事例は国内では希であり、注目に値する。
・さまざまな子どもが集う場として、すでに5年以上(活動開始は2010年5月)の活動実績がある。
・これまでの事例と同じように里山での活動を通じて、その大切さを学ぶ場となっており、里山を活用する後継者の育成や、持続的な活用などが期待できる。
なお、今回の支援活動に至るまで、「里山物語」を使用してくださった企業・団体名(50音順)は下記の通りです。
ア~オ
旭情報サービス株式会社
アルソ出版株式会社
飯野海運株式会社
因幡電機産業株式会社環境システム事業部
株式会社エンジニア
株式会社オルタナ
カ~コ
カルピス株式会社
株式会社キャンププラネッツ
NPO法人共存の森ネットワーク
国際自然保護連合日本委員会
コクヨ株式会社
サ~ソ
株式会社シティライフNEW
新宿区環境学習情報センター
西武信用金庫
セキスイデザインワークス株式会社
ソニー銀行株式会社
タ~ト
株式会社大地を守る会
高山信用金庫
ちゃーみんぐ企画
株式会社T&Dホールディングス
テイエス企画株式会社
東邦化学工業株式会社
ナ~ノ
長井編集企画室
日本エディタースクール
日本応用動物昆虫学会
日本貨物航空株式会社
日本コムシス株式会社
公益財団法人日本自然保護協会
日本労働組合総連合会
ハ~ホ
株式会社東日本銀行
株式会社プレシーズ
北陸電力株式会社
ヤ~ヨ
ヤマトインターナショナル株式会社
株式会社横浜銀行
ラ~ロ
ロイヤルホールディングス株式会社