去る2013年11月24日、「里山物語」を通じた第4回の支援を実施しました。今回の支援先は山梨県北杜市で活動する「森のようちえんピッコロ」さんです。
「森のようちえん」とは北欧で生まれた考え方で、幼児期における自然体験活動が、心身の発達によい影響を与えるという考えのもと、日本でも少しずつ広がりを見せている幼稚園です。
「里山物語」の寄付金を運用する特定非営利活動法人里山保全再生ネットワークでは、いじめ、自殺など、子どもたちを取り巻く悲しいニュースが多いなかで、里山を舞台にして子どもたちの五感や創造性、自主性をはぐくむ森の幼稚園に注目してきました。森の幼稚園が普及すれば、きっと人を思いやれる豊かな心を持った子どもたちが増えて悲しい事件が減る上に、問題が指摘されている自然体験の欠如も改善され、その結果として里山の社会的な価値も高まると考えてきたためです。
さまざまな森の幼稚園を調べていた時期に、偶然、候補として考えていたピッコロさんの前を通り、立ち寄らせていただいたところ、園の見学に加えて先生とお話をすることができました。保育方針や里山の活用方法に共感するとともに、自主保育だと自治体などからの支援が得られないという厳しい現実も知り、支援を決定した次第です。
今回、支援対象としたピッコロさんは、一般の幼稚園や保育園での勤務経験もある幼児教育家の中島久美子先生と、保護者による共同自主運営方式の幼稚園です。畑を開墾した園庭や、近くの森、小川などを保育フィールドとし、中島先生と、保護者でもある4人の保育スタッフによって毎日の保育が行われています。大人(先生と保育スタッフ)の役割を、「大人が考えた遊びを子どもに強いることではなく、遊ぶ子どもたちを見守り、決して子どもたちが危険なことはしないと信じて待ち、ときには手伝うだけ」とすることで、子どもたちの考える力や、自主性などを育んでいるのが大きな特長です。
支援に対するご要望をお聞きしたところ、「雨が降って外で火が炊けない日もあるため、以前から東屋が欲しいと考えていました」との回答をいただいたことから、東屋の建設を支援することになりました。するとピッコロさんは、支援予算をより有効に活用するため、卒園生のお父さんでもある大工さんに指導していただきながら、保護者のみなさんが力を合わせて作る方法を選んでくださいました。
目録贈呈式を行った11月24日には、園児のお父さんたちが総出で、柱や梁になる木を裏山で伐採して園庭に運び出し、お母さんたちが木の皮をむきました。
その後、材木の乾燥や加工を経て、春に完成する予定でしたが、冬の豪雪でしばらく材木が雪に埋もれてしまったことから、5月の完成となりました。
2014年5月24日、東屋の完成式典を開いてくださいました。太い柱に支えられたしっかりとした東屋で、中で火を炊いても煙が抜ける構造になっていました。広さは6畳間ほどで、約30名の園児が全員入れるそうです。
あいさつで中島先生は、「念願の東屋でした。大切に使っていきたいと思います」と話してくださいました。園の裏山から切り出した木で造られた東屋が、これから子どもたちとともにどのような年輪を刻んでいくのか、とても楽しみになりました。
なお、今回の支援活動に至るまで、「里山物語」を使用してくださった企業・団体名(50音順)は下記の通りです。
アースデイ東京2012
旭川商業高等学校
飯野海運株式会社
イーソリューション 株式会社
石川県生活協同組合連合会
因幡電機産業株式会社環境システム事業部
株式会社エンジニア
株式会社オルタナ
唐津地区高等学合同吹奏楽団
認定特定非営利活動法人共存の森ネットワーク
株式会社共同通信社
株式会社グリニウム
コムシスホールディングスサ~ソ
新宿区役所
新生紙パルプ商事株式会社
ソニー銀行株式会社
高山信用金庫
株式会社T&Dホールディングス
テイエス企画株式会社
東邦化学工業株式会社
財団法人とやま環境財団
株式会社中島商店
日本コムシス株式会社
日本エディタースクール
公益財団法人日本自然保護協会
日本紙パルプ商事株式会社
株式会社東日本銀行
ヒューマン・ケア心の絆プロジェクト
株式会社プレシーズ
株式会社ブロンズ新社
北陸電力株式会社
株式会社毎日新聞社
株式会社丸楽紙業株式会社
八代第五中学校吹奏楽部
山梨県林業普及協会
株式会社横浜銀行
株式会社ロイヤルホールディングス