今年4月、「里山物語」による第5回目の支援として、「貝原棚田保存会」にテントを贈呈しました。そこで今回は、貝原棚田も含むすべての棚田について、由来やその役割をご紹介します。
棚田の原型は古墳時代に存在していたと考えられています。開発ラッシュを迎えたのは江戸時代のことでした。各藩の財政基盤である石高を増やすために、水回りのよい急斜面に水田が開かれたのです。
急勾配で田が小さく、手間がかかるなど、最近はデメリットばかりが強調されていますが、メリットもたくさんあります。例えば小さな治水ダム的な役割を果たし、地すべりや土砂崩れの防止に役立っていることです。また、雑木林や、ため池、湿地などが一体化しているので、多種多様な生物が暮らす場になっていることも注目されています。さらに日本人にとって原風景とも言える、懐かしくも美しくい景観が残っていることも特筆に値します。
これらに加えて、お米がおいしくなりやすいという特徴も持っています。水源から近くて水質がいい上に、コンバインが入りにくいことが逆に幸いし、手間暇かけて天日乾燥をする棚田が多いためです。
このように多くの機能を担いながらも、おいしいお米が得られる棚田は、人類の叡智が詰まったスーパーな農地なのです。
(2015年6月 中越パルプ工業社内報kami-cocoro 里山マイスターの「里山通信」vol.22を転載)